today and today 一茶の俳句絵本

 俳句が英語になると、不思議な感じがする。575のリズムがなくなり型から言葉がこぼれ落ちる分、しっとりとイメージの世界が広がっていくような感覚に捉われる。一茶の俳句を絵本にした『Today and Today』を読んだときも、同じような感覚だった。
 今まで米国の子どもたちを描いていた画家が、アジア風抒情たっぷりのイラストを描いたことにも新鮮な驚きがあった。和紙や木目、網目などを用いた光と影の空間が、一句とともに静かに広がっている。
 こういう一茶もいい。純和風ではないのだけれど、四季折々の自然を愛する心が優しくページにたたずんでいる。やわらかい日差しに包まれた野原、ひっそりとした部屋、のどかな家族風景。ここに描かれる春夏秋冬を過ごすことこそ、しあわせそのものじゃないか。それは、生きる原点ここにありという穏やかな主張。
 素朴な、自然賛歌の俳句絵本。(asukab)
amazon:G. Brian Karas
G Brian Karas -- children's book author & illustrator

  • 一見、アジアの絵本風でもある

Today and Today

Today and Today