Fred Stays with Me! いつもフレッドといっしょ

 絵本はたっぷり読んでいたのに、書いている時間がありませんでした。演奏会、発表会、オールスターゲーム……と子どもたちの行事続きで、気が付けば夏休みに突入して2回目の週末を迎えるところ。空いてしまった10日間はまた、つぶやきコーナーにでもしようかと思います。
 さて、ナンシー・ドゥルーと妖精シリーズに夢中の娘ですが、いつも絵本にはお付き合いしてくれます。今日彼女と読んだ絵本は、『Fred Stays With Me!』。冒頭の表現から、女の子の両親は離婚をしていることがわかります。

Sometimes I live with my mom.
Sometimes I live with my dad.
But Fred stays with me.

 フレッドは、家族の愛犬です。女の子の生活がママとパパの間を行き来するせわしないものであっても、いつも友だちとしてそばにいてくれるのでした。でも、フレッドのいたずら好きがたたり、ある日、女の子は「犬とはいっしょに暮らせない」と言われてしまいます……。
 女の子もフレッドも作中では優しい笑顔で描かれていますが、セピア色の淡い水彩と彼らの置かれた状況から、たまらない切なさに襲われる絵本です。「離婚」を直接扱う絵本ではないのに、「離婚」を通して子どもの心情をほんのりと投影する、深い余韻を持った作品です。
 両親が離れ離れになるという体験――。子どもにしてみたらどれほど重い事象なのかと、あらためて考えさせられました。でも、傷つきやすい時代に通らなければならないできごとも、フレッドといっしょなら甘辛の思い出になるのでしょう。イラストが「そばにいてくれる存在」の大切さを巧みに表現しています。(asukab)
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  • 多数を占めるから離婚(シングル・ペアレンティング)は普通とイメージする感性がどれほど罪作りなことか、大人は振り返るべき。

Fred Stays With Me!

Fred Stays With Me!