My Dog is as Smelly as Dirty Socks 身近なモノでアート!

 アート心をくすぐる、楽しい絵本に出会いました。日頃「アート」からかけ離れていても、『My Dog Is As Smelly As Dirty Socks: And Other Funny Family Portraits』を開いたら、ふと机の上に置かれたボールペンと石ころ、消しゴムなんかを使って、誰かの顔をオブジェとして描いているのでは。
 家族の絵を描いてみたけれど満足できない女の子が、身近な物を使って表現し始めます。黒ペンで描いた父親の姿を見つめ、目に見える部分からではわからない父親像を浮き彫りにし始めて……

 とうさんは、バネみたいにはねておどろくびっくり屋さん、コマみたいにいっしょにあそんでくれ、パーティでもらうオモチャの笛みたいにたのしい。でも ときどきぎゅっとロープをむすんだ目のように どうにもがんこで ゆずらない。

 こうしてページをめくると、絵の具で塗った面の上にバネ、コマ、オモチャの笛、むすんだロープを置いて描いた父さんの顔が現れます。続いて、母さん、お兄ちゃん、赤ちゃんの弟、犬のシュマッツが同様の趣向で登場し、最後にお姫さまになった自分の顔。次のページで作者が読者に問いかけます――「今度はあなたの家族のことを教えてね」。
 見返しを飾る「顔」の数々は、イスラエルの小児病院で、がん患者の子どもたちが作者のワークショップ"Drawing with Objects"を通して制作した作品群です。ひとつひとつのモノに託された思いをすくい始めると重くなりますが、自分や家族を表現した証は時間と重なってアートの普遍性を示しています。(asukab)
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  • 表紙のワンちゃんは、クツシタ(耳)、タマネギの根っこ(目)、サラミ(鼻)、ソーセージとツナ缶(足)……からできています。「クツシタくさい!」と鼻をつまんでいる青い洗濯バサミがかわいい

My Dog Is As Smelly As Dirty Socks: And Other Funny Family Portraits

My Dog Is As Smelly As Dirty Socks: And Other Funny Family Portraits