When Marian Sang マリアン・アンダーソンの伝記……米国黒人史月間で娘が選んだノンフィクション絵本

 2月は黒人史月間でもあるので、科学ノンフィクションに加え、読書は歴史関連本も多くなる。そんな中で娘がフリーブック・イベントで選んだ絵本がこちら『When Marian Sang : the True Recital of Marian Anderson the Voice of a Century: The True Recital of Marian Anderson : the Voice of a Century (Bank Street College of Education Flora Stieglitz Straus Award (Awards))』。年間優秀ノンフィクション絵本に贈られるロバート・サイバート賞(銀賞)を2003年に受賞している。
 作品は、偉大なオペラ歌手マリアン・アンダーソン(1897-1993年)の伝記絵本である。実力を持ちえていながらも人種差別政策により音楽学校に入学できず、プロデビューを果たした後もラジオ局で放送されないなど、国内では過酷な歳月を強いられた。しかし、歌唱力の真価は欧州で発揮される。百年に一人の大器と名声を得、1939年に7万5千人を収容したニューヨーク、リンカーンセンターでの歴史的コンサートに結びついた。それでも米国社会の黒人差別意識は執拗に根深く、メトロポリタン劇場でのオペラデビューは晩年57歳だった。
 その時代に生きたことが、運命だったのか。本物を見極めたイタリア人指揮者アルトゥーロ・トスカニーニに拍手を送りたい。
 深いセピア色基調のイラストが、時代性を巧みに捉える。(asukab)
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