チキンスープ・ライスいり 12のつきのほん

 息子の誕生月を迎え、15年の歳月に想いを馳せました。まだ少年ですが、なんとなく青年になりつつもあり、微妙な年頃です。学校の行き帰り、とぼとぼと向こうから歩いてくる姿を見て手を振ると、恥ずかしそうに振り返してくれる、その気持ちがうれしいです。小さな頃とまったく同じ――と確認できて。親はホッとしているというか。思春期とはどんなに恐ろしいものかと硬直して構えていた時期がありましたが、違いました。この子はたぶんこのまま、成長していくのでしょう。母親に似て社交的ではないのですが、大切な人を大切にできる出会いがあればいいや、と楽観視しています。
 暦に人の成長が重なると、時間は理由もなく感傷を施します。ということで、センダックの小さな詩集『チキンスープ・ライスいりー12のつきのほんー*1を広げ、幼少期の息子の姿を重ねました。登場するこの男の子は、チキンスープが大好物の彼そのものなのですから。
 美味しそうなスープの描写が、楽しい擬音語、擬態語といっしょになって、しあわせとともに流れ出します。大好きな絵本は日本語で味わうほうが豊かに感じられるのですが、この詩集は自分にとり、まさにその典型でしょうか。
 2月の詩はこうです。

FEBRUARY(ふぇびゅるあり)は 2がつ。
ゆかいなんだ、このつきは。
きょねん つくった ゆきだるま、
1つに なって たんじょうび。
ゆきだるまには ケーキ、
ぼくには もちろん スープ。
おめでとう 1くち
おめでとう 2くち
おめでとうと たのしむ、
チキンスープ・ライスいり。

 個人的な誕生月に詩集でも祝福してもらえ、偶然とは思えない不思議なつながりを感じました。(書影は原書)
amazon:Maurice Sendak

Chicken Soup with Rice: A Book of Months (The Nutshell Library)

Chicken Soup with Rice: A Book of Months (The Nutshell Library)