An Eye for Color 抽象画家ジョセフ・アルバースの伝記絵本

 正方形の配置と色彩変化で表されるスクエア・ペインティング――。よく目にはするけれど、誰の作品なのかまったく知らずにいた。"An Eye for Color The Story of Josef Albers"を読み、その存在がぐっと近くに感じられるようになった。
 ドイツ人の抽象画家ジョセフ・アルバースの美的感覚は、無機質な工業廃棄物に囲まれた炭鉱の町で養われた。バウハウス美術学校がナチスにより封鎖され渡米した後、メキシコを旅して「抽象美術の約束の地」と感動する。色鮮やかな街並みや焼き物を目にして、色の踊る環境がさらに彼のアート魂を刺激しはじめた。
 色と形――。考えてみれば、これこそ人が最初に創造と触れあう基本ではないか。限定された二次元の中に純粋な三次元空間を表現した「四角の世界」は、見ていて飽きることがない。その理由は、色と形の起源にさかのぼるからなのだ。
 作者がアルバースの近所に住み、幼少期に交流していたという巻末の逸話が面白かった。色を使うアート・アクティビティが紹介されていて、いつか子どもたちと取り組んでみようと思った。
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An Eye for Color The Story of Josef Albers

An Eye for Color The Story of Josef Albers