公爵夫人のふわふわケーキ

 ふだんケーキなど焼いたことのない公爵夫人がケーキを焼くと……。「わたしは 今から、ふんわり ふわふわ、あまーいケーキを やきますからね」。教授を申し出た料理番の言うことも耳にせず、公爵夫人ははりきって作業にとりかかる。そうしてできあがったケーキは……。ふくらし粉を入れすぎてしまったのか、ふんわりふわふわ大きくなって、果ては空に向かって膨らみ始める。さあて、どうなることやら。
 英語で見かけておもしろそうと思ったところ、邦訳も出ていた。米国で「50年以上も子どもたちに愛されてきたゆかいな絵本」のとおり、『公爵夫人のふわふわケーキ』には夢中になるお話には欠かせない要素がたくさん詰っている。魅力的な登場人物たち(ここでは公爵夫人や13人の姫さまたち)、意外なお話の展開(むくむくふわふわ大きくなるケーキ)、ああよかった!で終る帰結(これは、お楽しみ)などなど――。作者は図書館司書だったというから、創作のこつはこの経験から得たのかな、などと思いながらページをめくった。
 13人のお姫さまシリーズは6冊執筆されているとのことで、さっそく読んでみなければ。押韻するリズムが楽しい。
 ところで小さなお姫さまたちのお名前なのだけれど……。

13人のひめさまの なまえを、いいますよ。
いっぱい いるので、よーく きいてね。
マデリンと グエンドリン、ジェインと クロチルダ
キャロラインと ジェネビエーブ、モードと マチルダ
オルバルドと ギネビア、ジョーンと ブルンヒルダ、
それから いちばんのおチビさんが、ガンヒルダです。

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公爵夫人のふわふわケーキ

公爵夫人のふわふわケーキ