The Goat-Faced Girl イタリア民話 羊の頭の女の子

 娘といっしょにイタリア民話"The Goat-faced Girl: A Classic Italian Folktale"を読んだ。
 怠け者の娘イザベラが、王子さまと結婚することになった。今でも怠惰なのにお城へなどお嫁に行ったら、現状に輪をかけて怠け者になってしまう。危惧した母親は、魔法をかけて娘の頭を羊にする。羊頭を見た王子はこんなはずじゃなかったと後ずさり。見かけで翻った王子は、イザベラに難問を投げかけた。羊頭のことを知らないイザベラは、姫になる夢を求めて真摯に挑戦し始める。
 怠け娘イザベラの変貌ぶりは、ちょっとした人生指南的な意味合いを持つ。畑作り、料理、裁縫と、嫁入りに必要な業を身に付ける中で、人間的にも賢く成長していくのである。ゴールがあったからこその結果だろうか。一心不乱に取り組めたのも、この目標のおかげだったのかなと眺めてみる。ここが民話の教訓でもある。
 個人的な理想としては、好きなことをひたすら続ける人生がいい。ゴールも何も、根っから好きなことをしているので、他人から見たら社会的規範のゴールには到達しているにもかかわらず当人には通過点でしかなく、ただひたすらと歩み続けているような感じ。至難を至難と感じない情熱を持ち、そこまで続けていたら至高の域でしかないような世界に生きている。さらに言ってしまうと、外から見える「クラス」とかそんな規格付けは、夢中になっている当人には実はまったく見えていない。そんな無為の至高が憧れだ。
 絵本の中でただ一点、「たとえ」に関して違和感を抱いた。つましい食生活を象徴するのに、「ピーナッツバターとジャムのサンドイッチ」はどうかな、と。この時代のイタリアに、PBも、チョコレート・カップケーキもないのだけれど、まあ、米国の子どもたちには感覚が伝わるのかな。そこが残念だった。
amazon:Leah Marinsky Sharpe
amazon:Jane Marinsky

The Goat-faced Girl: A Classic Italian Folktale

The Goat-faced Girl: A Classic Italian Folktale