Paris in the Spring with Picasso ピカソの春

 画家ピカソのパリ在住時代をフィクションとして描く"Paris in the Spring with Picasso"を読んで、一世紀昔に想いを馳せた。パリの街並み、時代背景、彼の交友関係……ところどころに飛び出すフランス語の会話がそれはもう洒落ている。舞台と時間はだれにも平等に与えられていたにもかかわらず、ピカソは歴史に残る偉大が画家になった。何がそうさせるのか。時間とのかかわり方なんだろうなと結論付ける。
 イラストが、ちょっとマドレーヌちゃんシリーズみたいなさらりとしたスケッチ風。プライスマンらしい! 芸術の都を想起させる筆運びだけでたちまちシャンソンの調べが流れ始め、アコーディオンの誘う物哀しさがほんのり感じられるから、文化の正体とはいったい何!――と、立ち止まったりも。
 躍動感にあふれる語りが、小学生にピカソやあの時代のパリを紹介するのにぴったりだと思った。
 ピカソ好きの人に。
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Paris in the Spring with Picasso

Paris in the Spring with Picasso