The Chiru of High Tibet チベットカモシカ チルーを守る

　密猟により激減していたチベットカモシカ、チルーを守るノンフィクション絵本。
　チベット北部に生息するチルーの毛はやわらかくてあたたかく、シャトゥーシュ（毛糸の王さま）と呼ばれている。ただ、そのために密猟があとを絶たず、絶滅の危機に直面していた。
　１枚のショールを織るために３頭から５頭が犠牲になるというチルーを守ろうと、動物学者ジョージ・シェイラーが立ち上がった。中国政府に保護区の申請をするためには、夏場に雌がお産する場所を正確に把握していなければならない。絵本は、地元民さえ知らないというチルーの秘境探しを丹念に伝える。
　人類未踏の聖なる地に足を踏み入れることが、一方で何か残念にも思えたけれど、そうしなければチルーは幻の動物になってしまう旅である。厳しい自然と闘い、壮大な光景を目にする最後が圧巻だった。
　どこかで見たことのあるイラストだと思っていたら、やはり。あのブタの表紙が印象的な絵本だった。
→不思議な力を持つ人々 - 絵本手帖

The Chiru of High Tibet: A True Story

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