雨の歌

 先週の日曜日、娘がおもしろい遊びをしていた。薄手の傘を開き、その上から大きさ3〜4センチぐらいの涙型に作ったパイプクリーナー(モール)をぽとぽとと落とすのだ。わたしを芝生に寝かせ、傘で顔を覆うようにしてお手製雨粒を20粒落とす。モールの雨粒は、赤、黄、オレンジ、紫などの色からなり、花柄薄紫色の傘の地に透けて映ると、ふわんと霞み、何だかとても幻想的な色合いになる。傘に当たる「ぽとん」と弾ける音と合わせると、すてきなアート体験になった。これは雨の絵本を読まなくちゃと思い、頭に浮かんだのが、『あまつぶぽとり すぷらっしゅ』だった。
 わたしは愛敬たっぷりの表紙のカエルが好きだったけれど、娘は長い間あまり興味を示さなかった絵本である。けれども、雨の降るある日、何気なくページを開きいっしょに読んだら……。水のはねる音、雨の落ちる音に魅了され、「音」の部分は何度も繰り返さないと気がすまないという、まさに絵本の力がたっぷり味わえる一冊になった。
 小さな雨の雫が大海に流れ込むまでが語られる、体裁としては詩のような絵本。初版が1946年だから、きっとこうやって長い間、子どもと大人を「音」で魅了してきたんだろう。「あまつぶ ぽとり すぷらっしゅ」「ぽとぽとぽっとん すぷらっしゅ」……リズムに乗りながら雨を体感する絵本は、雨の日を明るくしてくれる。(asukab)

あまつぶぽとり すぷらっしゅ

あまつぶぽとり すぷらっしゅ

  • 作者: アルビントゥレッセルト,レナードワイスガード,Alvin Tresselt,Leonard Weisgard,わたなべしげお
  • 出版社/メーカー: 童話館出版
  • 発売日: 1996/06/01
  • メディア: 大型本
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