小さな女の子の夢…お気に入り船の絵本4部作

 水彩の透明感とさわやかな潮風のまじった、夢を見ているかのような作品が『わたしのおふねマギーB (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)』。自分だけの船を作ることって子どもの憧れだと思うけれど、それを実現させてしまったのが小さな女の子マーガレット。ある夜、願いごとがかなえられ、弟のジェームスといっしょに出航した。
 船には、りんごと桃とオレンジの木や畑があって、おん鳥やオオハシ、ヤギまでいっしょに住んでいる。マーガレットは何て自立した女の子なんだろう。食事は畑からの収穫物や釣った魚でまかなう、(ファンタジーとはわかっているけれど)とってもうらやましい自給自足の生活を送っているのだ。海のシチューを作る場面など、わたしは息をのんで見入ってしまった。魚のさばき方が美しくて。
 大人のように何でもこなすマーガレットの暮らしぶりは、多くの子どもにとってそれはそれは魅力的なものだろう。畑を持ち、作物の収穫をして、お料理をして、絵を描いて、小さな弟の世話をして……、マギーBでの生活はまさにわたしの憧れそのものでもある。カラーとモノクロページが交互に登場する効果は、夢の存在を強調しているように思えた。(asukab)

わたしのおふねマギーB (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)

わたしのおふねマギーB (世界傑作絵本シリーズ―アメリカの絵本)