摩訶不思議、帽子ネコの世界

 有名なのに娘に読んでいない絵本に『The Cat in the Hat (Beginner Books(R))*1(邦訳『キャット イン ザ ハット (ビギナーブックスシリーズ)』)があった。息子の誕生日祝いにいただいた一冊だったが、こういう古典絵本は主人が学校に持っていったりして、読みたいときに家にないことが多い。さらに悪いことに、最近はまったく目にしていないので、もしかしてどこかに紛れてしまったのかも。贈り物であっただけに残念。わたしのは、実家に置いたまま。ということで、小学校から借りたものを娘に読む。
 退屈な雨の日、留守番をしていると紅白ストライプの帽子をかぶったネコがやってきた。魚がとがめるのも聞かず、帽子ネコはサーカスのような出し物で、ぼくたちを楽しませようとする。出てくるものは韻を踏んだ言葉遊びなので音以外にはつじつまが合わず、そこがまた奇妙な賑やかさを提供する。cake だったり、rake だったり。無秩序の中に浮かび上がる言葉と視覚の戯れが子どもには受けるのだろう。息子はこのネコ・ワールドが大好きだったっけ。これは、非常に奇妙奇天烈摩訶不思議好みの彼らしい。
 ある小学校の幼稚園の教室で、帽子ネコが描かれた「読書の椅子」を見たことがある。ティールグリーンを背景にした表紙の絵が、木の椅子の背もたれから座る面までそのままペイントされているのだ。(OHPを使うと、このコピーは簡単にできる。)これを見たときは、子どものように胸が高鳴った。わたしも絶対この微笑む姿を椅子にペイントしようと心に誓ったのだった。教室にこの椅子が存在すると、それだけで子どもは本の世界に誘われると思うな。帽子ネコは、読書の象徴だものね。
 邦訳の、先頭「ザ」なしが気になってしまう。『ザ キャット イン ザ ハット』じゃないとおかしいと感じるけれど、カタカナだとくどいのかなあ。(asukab)

  • 言葉遊びの定番絵本

The Cat in the Hat (Beginner Books(R))

The Cat in the Hat (Beginner Books(R))

  • 日本語になると、どんな感じなのかな(残念ながら品切れ)

キャット イン ザ ハット (ビギナーブックスシリーズ)

キャット イン ザ ハット (ビギナーブックスシリーズ)