ちいさなこぐまのちいさなボート

 先日のジャズ・コンサートで、息子の成長ぶりを振り返り感慨に浸りました。あどけない表情で大きなバリトン・サックスを吹く姿に、幼な子と少年の両方を見た気がします。家でさっそく『ちいさなこぐまのちいさなボート (はじめてブックシリーズ)』を開き、帯に謳われている「成長していく子ども、そっと見まもる親、手わたされていく思い」の意味を味わいました。
 小さなこぐまは、小さなボートが大好きです。湖をすいすいこぎまわったり、魚をとったり、寝そべって夢を見たり。ボートといっしょだと、なんて気持ちいいんでしょう。こぐまは、ボートも幸せなことがよくわかっていました。ところが、こぐまはどんどん大きくなり始めました。どんどん、どんどん、大きくなって、小さなボートには乗れないほどです。小さなこぐまは、大きなこぐまになったのでした。無理やり乗ろうとすると、転覆です。お母さんは言いました。「ボートには、もう のれないわね。こぐまは、いつかは おおきくなるの。そしてね、ちいさなボートは、いつまでも、ちいさいままなの」。
 今、息子は小さな少年から、ちょっぴり大きな少年になろうとする過渡期を過ごしています。今まで上手にできなかったことができるようになり喜んでいたかと思えば、一方で自分や状況に満足がいかなかったり、気持ちの起伏は上にいったり下にいったりで波線を描いているといえるでしょう。それでも「毎日が楽しい」と思えるような環境を作り見守ることが、親の役割なのだと言い聞かせます。大きいこぐまになった小さなこぐまを見守った、お母さんぐまのように。
 左手親指を怪我して、リトル・リーグのプレイオフ、オールスター戦で思う存分プレーできるのか危うくなってきました。わたしも沈みがちでしたが、前向きに。スポーツに怪我は辛いところですが、これも成長の一過程として乗り越えなければならない試練でしょう。(asukab)

ちいさなこぐまのちいさなボート (はじめてブックシリーズ)

ちいさなこぐまのちいさなボート (はじめてブックシリーズ)