Lightship 灯台船

 昨日の「色」をテーマにした絵本に続き、船の絵本『Lightship』も個人的にツボにはまる。色・アートが父からの影響だとすれば、船は祖父。42歳で結核に倒れ船上生活から遠ざかったが、戦前に客船、戦中に病院船で七つの海を渡った船長の話は、決定的に自分の運命を決めた。って、おおげさかな。わたしが港町シドニーに暮らし、今シアトルに住んでいることも、どこかで祖父が引っ張ってくれたのではないか。いずれにしても、自分の海好き、船好きは、祖父の語りに導かれた。
 絵本に描かれるのは、灯台船だ。湾内のある一点で錨を下ろし、航行する船に位置を知らせる役割を持つ。普通の船とは異なるが、潮風の香る甲板で働く船員たちの姿は、時代や船種を問わず同じだろう。作中、船員たちのペット、猫が登場するのだけど、これは「(黒)猫は船を守ってくれる」と口にしていた祖父と同じ趣だったので思わずほろりときた。
 作者は忠実に灯台船の生活ぶりを再現したという。その活写は、見返しにある船内の見取り図や角度を大胆に据えたイラストに表れる。
 潮の香とともに懐かしい想いが湧き上がってきた絵本。個人的にかなりのめり込んだけれど、そういう読み方も、ときにはいいかな。(asukab)
amazon:Brian Floca

  • 作者はノンフィクション乗り物絵本が得意

Lightship

Lightship