The Apple-pip Princess りんごのたねをまいたおひめさま

 ジェーン・レイの『The Apple-Pip Princess』、すてきでした。純粋で清らかな心が感じられる極上のおとぎ話です。
 美しく豊かに栄えていた王国は、女王さまの死によって、悲しみに打ちひしがれた国となります。そんな中、年老いた王は世継ぎを決めようと3人の姫たちに問いかけました。「7日の間に、もっとも誇らしい行いをした者が世継ぎとなる」――。一番の上のスザンナ姫は月に届くほどの塔を建てようとし、二番目のミランダ姫は星に届くほどの塔を建てようとしました。末っ子のセレニティは母親からもらった木箱から、すてきなアイデアを授かります。「りんごのたね姫」というタイトルからも察せられるように、セレニティは、箱の中に入っていたりんごの種をまくのです。こうして2日目は朝食の梨の種、3日目はお昼のオレンジの種、4日目は夕食のさくらんぼの種を蒔き……果たして7日後までに実は育つのでしょうか。
 娘が真剣に読んでいたのでわたしもページを開いてみると、宝石の輝きをたたえた美しいお話であることがわかりました。お話の紡ぎ方、お姫さまの描写、セレニティの行い……どれも非常に魅力的。表紙の印象と異なりますが、大地の温もりと果実のさわやかな香りが渡る絵本です。
 わたしも娘も、セレニティーが女王からもらった木箱が大好き。この中に入っている物の描写は、女の子の夢をそのまま描いています。少なくとも、わたしと娘の夢の木箱です。英国の絵本。(asukab)

The Apple-Pip Princess

The Apple-Pip Princess

 種まき……ときたので、再びid:ie-ha-te-naにもご紹介。