Little Rabbit's New Baby ちびうさ にいちゃん

 『Little Rabbit's New Baby』(邦訳『ちびうさにいちゃん!』)を読んで。親子間の会話があたたかいなあ、これほど自然な会話が描けるとは作者も心の豊かな家族の中で育ったのでしょう――。ハリー・ホースのちびうさシリーズには、ビスケットの香りがする幸せがたくさん詰っています。
 本作では、赤ちゃん誕生が待ち遠しくて仕方がないちびうさですが、いざ生まれてくると、めんどうなことばかりでしかめっ面になってしまいます。お兄ちゃんの心情がとても自然で、何から何まで共感でした。
 このレビュー、先月に書こうか書くまいか躊躇していました。理由は7月13日付英国デイリー・メール紙の記事です。作者の思い描いた家庭生活は、ちびうさに描かれた世界そのものだったのでしょう。現実とのあまりに差に持ちこたえられなくなった最期を思うと、やるせなさに打ちのめされます。RIP――どうぞ、天国でちびうさ一家のような家庭を築き、幸せに暮らしてください。
 イギリスやフランスの読者が投稿しているように、真実を伝える意味があったのでしょうか。知らないほうがよかった。それほどまでに哀しい結末です。
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Little Rabbit's New Baby

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