The Little Yellow Leaf 人の生きる道とは

 "Boys, be ambitious"(少年よ大志を抱け)――クラーク博士の言葉で描いた未来は、せめて20代までの人生。その後のことなど雲の上の話で、まったく見えていない。祖父母とはいっしょに暮らしていたけれど、自分の中高年の姿は描けなかった。母親になる事実でさえ、人ごとのように思えていたのだし。
 「大志」が後方に消え去ろうとしている今、目指す老年とはどのようなものか。子どもたちが成長するにつれ、賑やかな2人のいないがらんとした家を想像し、思考回路を巡らせる。老年とはつまり、死に向かってどのように備えるかの日々である。死をどう受け止めるかの序奏、助走、……どちらでもいいか。
 昨年出会った絵本『The Little Yellow Leaf』の評判がやけに高く読んでみたのだけれど、テーマは「死との対峙」なのかな……というのが第一印象だった。ちょっぴり『葉っぱのフレディ―いのちの旅*1と似た設定。イラストがグラフィック・デザイン的なので、手描きのような人の息づかいが伝わる画風であればさらに情感豊かに表現できたのではないか。
 四季の移ろいを経た裸木に、小さい黄色い葉っぱが一人ぼっち。どうしてもまだ「いく」気持ちになれないのだ。まだ。まだ。まだ、そのときは来ない。すると幹の向こうにやはり同じ想いを抱いていたに違いない小さな赤い葉っぱが一枚。互いに言葉を交わすと、晴れやかに黄色と赤の気持ちが整った。「いち、にっ、さんっ!」――
 永訣と断言していいのだろうか。ここは、いかようにも捉えられる。とにかく、新たな出発なのだ。
 今朝の元旦ヨガで先生からいただいたダライ・ラマ14世の言葉と重ね、新しい気持ちで一歩が踏み出せたらいい。生かされているから尽くす、みたいな老年。その前に中年、壮年を猪突猛進なのだけれども。

A PRECIOUS HUMAN LIFE


Every day, think as you wake up...


Today I am fortunate to have woken up.
I am alive.
I have a precious human life.
I am not going to waste it.
I am going to use all my energies to develop myself.
―To expand my heart out to others.
―To achieve enlightenment for the benefit of all beings.
I am going to have kind thoughts towards others.
I am not going to get angry or think badly about others.
I am going to benefit others as much as I can.


H.H. The XIV DALAI LAMA

 新年明けましておめでとうございます。本年も絵本手帖を、どうぞよろしくお願いいたします。
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The Little Yellow Leaf

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