光をたたえる冬の詩 

 季節外れの絵本レビュー、その4。
 米国の冬は「光の祭典」として多様性をたたえる行事が多く紹介される季節でもある。子どもといっしょに親しんだ当地のチルドレンズ・ミュージアムでは毎年、インド・ディワリに始まり、メキシコ・ラス ポサダス、スウェーデン・サンタルチア、ユダヤハヌカ、タイ・ロイ クラソング、アフリカ系アメリカ・クワンザ、中国正月……がテーマになる。こういったお祭りを見ていると、暗い季節――北半球を中心にしているのは周知のとおり――、所違えどどの文化でも人々は「光」を求めていたことがわかる。抑圧された民の求めた光がクリスマスの象徴であるように、「光」はそれぞれの文化に共通して重要な意味を持った。
 公立校では政教分離で当然クリスマスには触れず、民族文化を尊重するためにこういったお祭りにまつわる文化学習をする。革新地盤のシアトルだからなのだろうか、ふと他地域はどうなのか不安になったりもするが……。(保守地盤の州では学校でお祈りしていたりするので。)
 『Winter Lights: A Season in Poems & Quilts』は、そんな光の季節をキルトと詩で表した美しい絵本である。サンタルチア、ハヌカ、クリスマス、クワンザ、中国正月を表す光が、一針一針、丁寧に縫い上げられている。ほうっと、ため息。ささやくような詩とともに暗闇に浮かぶ光を目にすれば、こめられた思いがぬくもりとなって伝わってくる。巻末に3ページにわたるキルト制作の簡単な技術指導があるので、キルターにとってうれしいところ。
 布と糸、毛糸で作るアートの感触は憧れである。おばあちゃんになる日を夢見て。(asukab)

Winter Lights: A Season in Poems & Quilts

Winter Lights: A Season in Poems & Quilts