multi culture

Dear Primo: A Letter to My Cousin メキシコとアメリカ、手紙で文化交流

"Dear Primo: A Letter to My Cousin"は、同年代のいとこ同士が手紙を通して異文化交流をする絵本。少年たちの言葉が生き生きしていることもあるだろう、わたしは興味津々で彼らのやりとりに引き込まれた。 メキシコの農村に住むカリトスとアメリカの大都市…

Azad's Camel らくだレースの少年

なんて魅力的な描線なんだろう。"Azad's Camel"の表紙を見て、これはちょっとスペシャルな画家の絵だと感じた。イラストばかりではない、ストーリーも非常に興味深い。社会的な問題作である。 中東アラブ諸国でさかんならくだレースでは伝統的に少年たちが騎…

The Earth Shook: A Persian Tale 人間のできること

"The Earth Shook"は、孤児となった少女パリサを描く。2003年12月26日、イランのバムを襲った地震で現地の人口は半減し、多くの孤児が生まれた。天変地異で家族を失い、恐怖のどん底に突き落とされたパリサ。絵本では、恐怖に怯えるパリサが人間性を…

Nabeel's New Pants: An Eid Tale しあわせ家族の物語

"Nabeel's New Pants: An Eid Tale"の作者は在米インド系英国人、画家はカルカッタ在住のインド人。お話はインドのイスラム教徒が祝うお祭りイードを背景に、まごころいっぱい、愛いっぱいの一家族を描く。 靴屋のナビールさんは大忙し。明日はイードのお祭…

Say Hello! 世界中のコンニチハ

"Say Hello!"は、おばあちゃんに会いに行く途中、街中でいろいろな国の人に出会い「こんにちは!」とごあいさつする絵本。 コラージュがかわいい。この作者は、初期の頃に比べてものすごく画風が変わった。ここ最近のコラージュ趣向はなかなかよい感じなので…

The Arrival 異国の地へ

『The Arrival』は、文字なし絵本。セピア色の鉛筆画が、異国の地で生活を切り開いた人々のドラマを淡々と描き出す。見返しには、実際にオーストラリアに移民したさまざまな人々の顔が並ぶ。アジア系、ヨーロッパ系、アラブ系、アフリカ系……過去に背を向け希…

N is for Navidad 南米のラス・ポサダスを紹介するABC絵本

『N is for Navidad』は、12月16日に始まり1月6日に終る南米のNavidad(=クリスマス)を紹介するABC絵本。行事はマリアとヨセフに扮した2人を先頭にロウソクを灯して行進し、彼らがたどったベツレヘムへの旅路を再現するというもので、24日のクリスマス・イ…

Ann Morris & Ken Heyman の写真絵本4冊

北半球に限ったお話。冬至を前に日々暗くなる中、光、温もりを求める風習はどこの文化でも生まれていた。これを学んだきっかけは、息子が小さかった頃、毎週欠かさず通ったチルドレンズ・ミュージアムにある。アドベント期はいつも各文化の冬のお祭りを紹介…

Wee Gillis 1939年オナー

キルト衣装からわかるように、『Wee Gillis (New York Review Children's Collection)』の舞台はスコットランド。タイトルにある少年の本名は「アラステア・ロデリック・クレイギャラチ・ダルハシー・ゴーワン・ドニー-ブリストル・マックマック」と言ったが…

MEI LI 1939年

『Mei Li』は、1930年代の中国を垣間見ることのできる歴史的価値の高い絵本である。作者である画家トーマス・ハンドフォース(1897-1948)は文学・芸術など教養分野で優れた実績を残した人に贈られるグッゲンハイム奨学金を受け1931年、極東研究のため中国・…

光をたたえる冬の詩 

季節外れの絵本レビュー、その4。 米国の冬は「光の祭典」として多様性をたたえる行事が多く紹介される季節でもある。子どもといっしょに親しんだ当地のチルドレンズ・ミュージアムでは毎年、インド・ディワリに始まり、メキシコ・ラス ポサダス、スウェー…