Bear Flied High ふたたび、くまさんといっしょ

 "Bear Flies High"には、子どもの頃に体験した夏が詰っている。青い空、白い雲、光る風、波しぶき。でも、この絵本の中では、くまさんもいっしょ。夏の始まりを再現しながらページをめくった。
 浜辺を走り、空を見上げて「飛びたいなあ」とくまさんは夢を描く。四人の子どもたちは、それをかなえてあげようとくまさんを遊園地に連れて行ってあげた。空飛ぶカップ&ソーサーやローラーコースターで風を切りながら、目の前に現れる空の存在を教えてあげるのだ。
 "The Bear in the Cave"に次ぐこちらの第二弾も、掛け合いと繰り返し、擬音語のリズム、楽しさが生きた作品である。小さな読者はくまさんの夢に自分を重ねて、空飛ぶ心地よさを味わうことだろう。みんなで見とれる最後の夕日まで、夏の到来を讃える絵本だった。
 ところで、ここに描かれる遊園地の光景から思い出したことがあった。半世紀の歴史がある当地の市営遊園地が、経営困難で州外に移動することになったと言う。子どもたちが小さな頃お世話になった思い出深い場所でもあるので、一抹の淋しさが残る。遊園地も時代の潮流に乗って消えてゆく存在なのかと、ほろり。
Bear's Day Out 「きょうはみんなでクマがりだ!」の続き - 絵本手帖
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Bear Flies High

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