Dust Devil こちらはSwamp Angelの続編

 "Swamp Angel (Caldecott Honor Book)"(『せかいいち大きな女の子のものがたり』)の続編が"Dust Devil"。テネシー州からモンタナ州へと舞台を移し、無法者「さかさのバート」の一団と闘う姿が描かれる。
 冒頭では、巨人のエンジェルらしからぬ光景も。ただっぴろいモンタナの風土になじめなくて、影を作るために山をこしらえたりする。テネシーを恋しがりながらも土地に馴染んでいく姿が、ちょっと「らしからぬ」感じでそこもまたほほえましい。
 大嵐と格闘した結果がグランド・キャニオンの成り立ちとか、米国西部の好きな人が読んだら、けっこう大笑いしそうな内容だった。
 タイトルのダスト・デビルとは、嵐の格闘の後に出会った馬の名前。巨大な蚊に乗る「さかさのバート」一団がおもしろい。

Dust Devil

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はてなバレンタイン企画

バレンタインチョコ欲しい!
欲しいプレゼントは…セイコーインスツル 電子辞書 PASORAMA 英語モデル SR-G10001

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 一応欲しい辞書がすべて入っているのでずっと狙っていました。当たるといいなあ〜。明鏡、新漢字林はここで第2版が出るようなので古くなってしまうけれど、英語サイドが充実しています。

ユース・ミュージック・フェスティバル

 カソリック教区主教座聖堂である聖ジェームス・カテドラルで本日、教会ユース・クワイアを集めたフェスティバルがあった。以前、うちの大聖堂でも教区内の子どもクワイアを集めた行事を催していたけれど、国教会の教会のみ。今回は超教派の催しということで興味があった。
 が、知り合い同士であるクワイア指導者が集まって計画されたもののようで、予想に反して規模は小さかった。聖ジェームスからユース女性クワイアと小学生クワイア、うちの国教会聖マルコからは中高生クワイアと子どもクワイア、聖ステパノ子どもクワイア、ルーテル派の十字架キリスト教会は小学生クワイアが隣りの市から参加。あと近隣の公立小学校の打楽器クラブも参加した。
 聖ジェームスのクワイア2つは、当地のカトリック勢力を示すかのように人数が多くて圧巻。学校の数を見るだけでも、そりゃそうだ。娘はこの冬、某カトリック高校が募った中学生のクワイアグループに参加していたので、聖ジェームスに誰か知っている友だちがいるかな……と期待したけれど「誰もいなかった」。
 コンサートでは、とくに高校生の女声合唱がよかった。みんな気持ちが入っている。うちは透明感のある発声がすばらしかった。でも国教会はやはり人数が少ないので、それがそのまま出ていた。
 最後の全体で歌ったラターの'For the Beauty of the Earth'は感動もの。もう涙ポロポロどころか、ボロボロボロ……だった。ヘンリー8世がカトリックから離れ自ら国教会の首長となった1534年以来、カトリックと国教会の教義内容はほとんど変わらない。ただ、音楽を聴いていると、うちはうちの伝統を築き培っていると多々感じる。王立教会音楽学校のゆえか。このラターの合唱曲など、その最たるものだ。伝統的な宗教曲も美しいし、こういうモダンなメロディもとても魅力がある。本家の英国では、たとえばこのような感じで歌われている。(ロンドン聖ポール大聖堂)

 子どもたちが首にさげているメダルは、王立教会音楽学校の指導に基づき、リボンの色により教会暦や音楽理論を学ぶレベルが示される。この指導には心から感謝している。

She Loved Baseball: The Effa Manley Story 女性初、アメリカ野球殿堂入りを果たしたエファ・マンリーの物語

 2006年、女性で初めてアメリカ野球殿堂入りを果たしたエファ・マンリーの伝記絵本。殿堂入りは、夫のエイヴとともにブルックリン・イーグルス(のちにニューアークイーグルス)のオーナーとして黒人野球リーグ(ニグロ・リーグ)の発展に貢献し、選手の地位向上に努めた功績がたたえられたことによる。
 エファはヨーロッパ系だが、黒人の兄弟に囲まれて育ったことで、黒人の地位向上にひじょうに熱心だった。
 この背景を調べてみると、ちょっと複雑だ。(どこで読んだのだっけ……)エファの母親はたしかドイツ‐インド系の人で、夫は黒人だった。が、結婚していたにもかかわらず職場の経営者の子どもを身ごもってしまい、それがエファ。白い肌を持つ新生児から姦通はあきらかで、離婚。その後、母親はふたたび黒人と結婚し、エファのまわりには黒人親族がたくさんいて、黒人文化に精通していたというわけだ。こうして、容姿はヨーロッパ系にもかかわらず、自身は黒人コミュニティで生きる道を選んだ。そのほうが自然だったのであり、いまから見れば時代を先走っていた母親の影響も少なからずはあるだろう。
 エファは球団経営に尽くした。ただ、その熱心さの源は、多く私情にも左右されていたようである。たとえば、お気に入りの選手と関係を持ち……との記述(ウィキペディア)もあり、なんだか複雑だ。親身になって黒人選手の社会的向上を目指した背景には、そんな血の踊る理由もあったのである。だからこそ、社会変革に至るまで情熱的に行動できたのかもしれない。野球が大好きだったのは確かなのだろうけれど、野球より選手が大好きだったのか。そのあたりは表裏一体。
 美しいけれど醜い事実も渦巻く歴史である。もちろん絵本にそんなことは記されていない。

She Loved Baseball: The Effa Manley Story

She Loved Baseball: The Effa Manley Story

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Ounce Dice Trice 英語の語感を味わおう

 "Supposing (The New York Review Children's Collection)"が愉しかったので、"Ounce Dice Trice (New York Review Children's Collection)"も読んでみる。
 こちらは、英語の語感を紹介する詩の絵本とでも言えようか。まえがきには「本書はことばと名前の一風変わった収集本であり、あなたを楽しませながら驚かします」の一行。ページをめくればたしかに、五感を揺さぶることばの集合体が続いている。
 「ここのことばを、大きな声で、何度も唱えることで、愉しみが生まれます」――これは事実。ことばに出して発声してみると、すまし顔のアルファベットの並列から豊かなイメージがふくらみはじめ、おもしろくなってくることはたしか。
 本文6ページの「かるいことば」、7ページの「おもいことば」はこんな感じ。

LIGHT WORDS
(to be said in windy or singing moods)
ARIEL
WILLOW
SPINNAKER
WHIRR
LISSOM
SIBILANT
PETTICOAT
NIMBLE
NIB


HEABY WORDS
(to be used in gloom or bad weather)
DUFFLE
BLUNDERBUSS
GALOSHES
BOWL
BEFUDDLED
MUGWUMP
PUMPKIN
CRUMB
BLOB

 ことばのあらたな側面を感受すること、必至。モノクロのイラストもよい味わい。
Supposing...もしも、そうなったら どうする……? - 絵本手帖

Ounce Dice Trice (New York Review Children's Collection)

Ounce Dice Trice (New York Review Children's Collection)

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小西甚一博士の『基本古語辞典』が新装版で復刊

 うれしい名著復刊! 初版1966年の『基本古語辞典』が装いもあらたによみがえるとのことで、さっそく予約。(アマゾンにはなかったのでbk1で。ところで、bk1の300円ギフト券って、いつも使い忘れてしまう。積もり積もれば、そこそこの痛手なんだろう。今回も持っていることを忘れてしまった、しょぼん。)
基本古語辞典 新装版の通販/小西 甚一 - 紙の本:honto本の通販ストア
 『古文の読解 (ちくま学芸文庫)』の巻末解説によると、この辞書は……:

《本辞書は、小西甚一個人の執筆である》と宣言する珍しい辞書で、改訂版(昭和四十四年)、三訂版(昭和四十九年)と改訂が重ねられ、ページが増え続けている。二色刷大型版(昭和五十九年)は三訂版と同じ内容。その「はじめに」でも《この辞典は、わたくし自身が書いたものであり、解釈も、用例も、他の辞典から借用したのは、ひとつも無い》と言い切っていた。

 ……とのことだったので、ずっと気になっていた。碩学の智のつまった辞書は、就寝前の、至福の読書になりそう。ムフムフ〜、顔がほころんでしまう。復刊ドットコムで投票していたので、うれしい。

古文の読解 (ちくま学芸文庫)

古文の読解 (ちくま学芸文庫)