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夏のひそかな楽しみとなる絵本#8 動物たちの芳しい夏

自然と動物の生活を表した英国のお話はたくさんあるけれど、中でもこれを絵本『むぎばたけ (日本傑作絵本シリーズ)』に仕立てた心眼はすごいと思った。月、星、麦畑、風――言葉と淡い水彩画から感じられるイメージが、芳しい夏の夜を美しく描く。息子はハリネ…

夏のひそかな楽しみとなる絵本#7 「真夏の夜の夢」の絵本版

ある夏の夜、お誕生パーティへの招待状を受け取ったルーシーは、紙の帽子の魔法で小さくなり小鳥の運転するタクシーに乗ってパーティに出かけることに――。かえる、ねずみの夫婦、しゃくとり虫、夏の草花……、月明かりのもとで広げられる小さな世界のできごと…

夏のひそかな楽しみとなる絵本#4 風にそよぐ畑の風船

青い空に浮かぶ、ピンク、オレンジ、紫、赤、青、黄色、緑の風船は、ピエロの顔だったり、カバだったり、ぶただったり、形はさまざま。ハーベイ・ポッターはそんな風船を畑で育てていた――。う〜ん、何という発想だろう。『ふうせんばたけのひみつ』も子ども…

夏のひそかな楽しみとなる絵本#3 波との戯れ

息子がプレスクールの頃、原書絵本『My Life with the Wave』に出会う。とにかく、表紙に吸い寄せられた。その後はページを開いて、ため息の連続。想像の及ばない壮大な発想に感嘆し、それに負けることのない鮮やかで大胆なイラストにただただ見とれていた。…

夏のひそかな楽しみとなる絵本#2 いわしくんのスマイル

夏の絵本を何冊か積み上げた。ほとんどが翻訳か原書絵本だけど、その中に日本の創作絵本が一冊。『いわしくん』は、息子も娘もわたしも大好きな作品である。直に吟味できない日本の絵本を注文するには結構勇気がいる。というか、わたしはほとんど注文しない…

夏のひそかな楽しみとなる絵本#1

夏に読みたいなあと思っていた絵本『はちうえはぼくにまかせて (世界こども図書館A)』を娘と読む。このタイトルは、主人公トミーの気持ちである。トミーは何がきっかけでこのアイデアを思いついたのだろう。夏休みの間、旅行に出かける近所の人たちの鉢植え…

バケーションは「ZOOM」

『Zoom (Viking Kestrel picture books)』(日本版は『ZOOM (fukkan.com)』)のページをめくり、時間を忘れることしばし。この絵本を開くと、時空を旅する不思議な感覚が体験できる。イメージは「夏」と「米国」。熱帯夜に冷たいグラスを傾けながら堪能した…

「ウエズレーの国って、いいね」

昨日、ちょうど絵本『ウエズレーの国』*1を出してブログに記していたら、「ウエズレーの国っていいね」と隣りで息子がつぶやいた。というわけで、リクエストを受けてさっそく読む。 自分だけの庭におもしろい植物を栽培して、そこからジュース・食料を取り、…

日本の田舎の清涼感

シアトルの夏は短い。当地は、緯度でいえば北海道の北、樺太、サハリンあたり。例年、7月に1週間ぐらい夏らしい日が続くけれど8月に入れば風はもう秋。今年の夏は何だか涼しくて、このまま暑い夏は来ず秋になってしまうのではないかとふと寂しい気持ちに…

不思議な航海

ずっと読もうと思っていた『いまいましい石』は、夏にふさわしい作品。リタ・アン号船長の5月8日から7月12日までの航海日誌がストーリーとなる。順風満帆で進むリタ・アン号に異変が起きたのは、地図上には存在しない奇妙な島に上陸して不思議な石を持ち…

夏の秘密はここにあり

2か月半も夏休みがあると、何をするのかしっかり計画を立てないと時間はただただ過ぎていく。宿題帳のあった自分の夏休みですら何もしない時間は多かったから、宿題のないこの国の子どもたち(いや、むしろ親?)は、かなりの自己管理能力が求められる。学…

子どもと果実のすてきな関係

真っ赤になったさくらんぼをうれしそうに振りかざす娘、赤くなっていないかなあといちごの草むらを探る息子――夏は、果実とのすてきな関係が築ける季節である。実が熟す前に摘んでしまうことは、2人ともすでに経験済み。ぷちっと付いた実は子ども心を一瞬の…

夏のはじまりに

金曜日は、娘のクラスで昼食会。メニューはスパゲティ・ナポリタン、フルーツサラダ、バター・ブレッド、ドーナッツにりんごジュース。果物を切ったり、バターをぬったり、前日にドーナッツの生地作りをしたりと、子どもたちは準備に大忙し、もちろん同時に…

むしむし暑い夏は、まだだけど

前庭に交互に並ぶりんごとさくらんぼの木、計4本――夏は果実三昧の季節である。さくらんぼの木には黄色い実が膨らみ始め、娘は手に届きそうなところに付いた実を指さし、「この実を1番に食べる」と宣言していた。その前に鳥たちに食べられなきゃいいけど。…

小さな子どもたちと大きな子どもたちに

おとといの夜、子どもたちと読んだ『光の旅 かげの旅 (絵本の部屋―しかけ絵本の本棚)』は、本格的なアートの視点から描かれた白黒の逆さま絵本だ。イラストレーター、アン・ジョナスの力量にうなってしまった絵本でもある。(彼女の『あたらしいおふとん (あ…

リズムの楽しい靴の絵本

娘にテニスシューズとサンダルを買い、この絵本のことを思い出す。そうそう、これは夏らしくなってきたこれからの季節に読むのがぴったり。 『くつ くつどんなくつ?』は、たくさんの靴が登場する詩の絵本。ボタンでとめる靴、ひもの靴、竹馬、長靴、ローラー…

大きな野原での、小さなできごと

『おおきなのはら』は、1から10までの数を数える絵本。野原を舞台に、かめ、きつね、こまどり、しまりす、みつばち、ビーバー、かえる、ふくろう、くも、うさぎ……のお母さんたちが、自分の子ども(たち)に生活の術を教えようとやさしく手ほどきをする。初…

自然といっしょに遊ぶなら

子どもと野の自然――そんな絵本を探しているとしたら、わたしは断然『わたしとあそんで (世界傑作絵本シリーズ)』をおすすめしたい。太陽のぬくもりいっぱいのクリーム色を基調に、素描のようなやわらかいイラストが小さな女の子と動物たちのふれあいをやさし…

ジャズ・バンドの思い出

『ベンのトランペット (あかねせかいの本 7)』は、ジャズ音楽の魅力を少年の心を通して伝える美しい絵本。トランペッターに憧れるベンの健気さが白と黒を巧みに操るモノクロの画面から痛いほど伝わる、喜びと悲しさが描かれた作品だ。貧しい街角の匂い、ジャ…