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George Did It 不言実行のジョージ アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントン

『George Did It』には、本国英国から自由を勝ち得た1775年から大統領就任演説のあった1789年4月30日までのジョージ・ワシントン人となりが描かれる。13領土をまとめ英国と戦った功績から、人々はジョージを初代大統領へと熱く懇願した。しかし、当の本人は…

The Story of SALT 塩のお話

先週だったと思う。朝の歯磨きをするとき、「昔の人は、塩で口を洗ったんだよ」と娘に話した。バクテリア繁殖を抑える働きに加えて、食べ物の保存にも効くことを話したら、がぜん「塩」の存在に興味を持ったようである。 神さまがこのできごとを知っていらっ…

The Journey That Saved Curious George: The True Wartime Escape of Margret and H. A. Rey ひとまねこざるを救った旅

親しみあふれる存在に、知られざる過去があるとしたら――。『The Journey That Saved Curious George: The True Wartime Escape of Margret and H.A. Rey』が出版されたとき、純米国製だと思っていたおさるのジョージに激動のヨーロッパを生き延びた背景のあ…

HEROS of BASEBALL: The Men Who Made It America's Favorite Game これを読めば米国の国民的スポーツがベースボールだとわかる

ベーブ・ルースやジャッキー・ロビンソンの写真はよく見かけるのだけど、『Heroes of Baseball: The Men Who Made It America's Favorite Game』には表紙にイチローが載っていたので思わず手にとってしまった。どのページにもふんだんに写真が使われているの…

Crossing Bok Chitto ボク・チットー川を越えて

「ボク・チットーと呼ばれる、ミシシッピ州を横切る川があります。南北戦争よりも前、さらにはチェロキー族が故郷を追われた涙の旅路事件*1よりも前から、ボク・チットー川は二つの土地をへだてる境界線でした。川のこちら側は、北米先住民族の土地です。向…

The serpent came to Gloucester

『The Serpent Came to Gloucester』は1817年の夏、マサチューセッツ州グロスター沖に現れた大海蛇を巡っての実話を物語詩に仕立てた絵本である。この大海蛇を描いた当時の絵は有名で、息子も知っていたぐらいだった。文献によると、グロスター町民は最初は…

DAD, JACKIE, and ME ジャッキー・ロビンソンと父さん

息子のチームが、第4戦で敗退。リトル・リーグ(メジャー)が終った。0−5で完敗。チーム安打わずか3本の内、息子が1本貢献できたことが唯一の慰めかな。サマーボールに申し込んであるので、今度はジュニアレベルでの試合が来週から始まる。ベースボール…

Sky Boys 摩天楼のできるまで

2冊目は、『Sky Boys: How They Built the Empire State Building』。今年75周年を迎えるエンパイア・ステイト・ビルディングのできるまでを描いた歴史フィクション絵本。わたしは表紙のイラストや見返しの写真を見ただけで目がくらくらしたが、息子はいっ…

Goin' Someplace Special ある夏の日のできごと

夏休み2日目、息子と『Goin' Someplace Special (Coretta Scott King Illustrator Award Winner)』を読んだ。 トリシア・アンの心は、弾んでいた。今日はひとりでバスに乗り、特別なところにお出かけする日だから。ワンピースのリボンを結んでもらい、「話…

アメリカ独立を支えた5人のお話

『John, Paul, George & Ben (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))』は、イギリスからの独立を目指したアメリカ革命に登場する著名人物たちの子ども時代が作者の想像とユーモアを交えて描かれる絵本。書店で手にして「息子が喜びそう」と思い、…

ホロコーストを伝える刺繍絵本

ホロコーストを伝える書物は数多くあれど、体験を刺繍にたくした絵本は初めて見た。『Memories of Survival』(邦訳『母からの伝言―刺しゅう画に込めた思い』)は、ポーランド生まれのユダヤ人エスター・N・クリニッツさん(1927−2000)が少女時代のホロコー…

ジャッキー・ロビンソンの1947年

息子といっしょに『Jackie's Bat』を読む。1947年は、米大リーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンのデビュー年。人種差別が当たり前だった時代、彼がどのようにその壁を崩していったのか――ジャッキーの残した歴史は、ブルックリン・ドジャーズのバットボ…

中世に旅する

『The Travels of Benjamin of Tudela: Through Three Continents in the Twelfth Century』は、12世紀に実在した北スペイン、トゥデイラ在住のユダヤ人ベンジャミンの旅行記を絵本化した作品である。マルコ・ポーロが現れる1世紀前、ヨーロッパから聖地エ…

本当にあったお話

『Hot Air: The (Mostly) True Story of the First Hot-Air Balloon Ride (Caldecott Honor Book)』は、しゃれたノンフィクション絵本。1783年9月19日ベルサイユ宮殿――ルイ16世、マリーアントワネット王妃ら宮廷人を含めた大観衆が見守る中、モンゴルフィエ…

ローザ・パークスの笑顔

マーティン・ルーサー・キングJr.記念日に合わせて読もうと思っていた『Rosa (Caldecott Honor Book)』(邦訳『ローザ』)を、1週間遅れで息子と読む。公民権運動を高めたローザ・パークスのバス・ボイコットは、米国のアイデンティティーを示す大切な史実…

日本語で読んでみたかった

1月第3月曜日はマーティン・ルーサー・キングJr.記念日。PBSでは番組と番組の間に、キング牧師の率いる行進や有名な「I Have a Dream」スピーチを放映していた。彼が導いた公民権運動は米国史に大切な礎を築いた。日常という忘却の中であたりまえのことに…

ウィリアムズさんの回顧録

『Mr. Williams』は図書館で見かけ、表紙が誘って放さない絵本だった。友人J.W.ウィリアムズさんの少年時代の話を、作者が聞き書きして絵本化した作品である。彼の飾らない口調は、それだけで読者との距離を一気に縮める力を持ち合わせる。 ウィリアムズさん…

クロンダイクに沸いた時代

アリス・プロベンセンがクロンダイク・ゴールドラッシュを描いた!――これは必読という意気込みで『Klondike Gold』を手にする。シアトル史はアラスカ金鉱抜きには語れないので、地元素材の作品と聞けば知らないうちに熱くなってしまう。こうして収穫感謝前夜…

キルトが示す生きる道

「真実に裏付けられた作品は、強い」とは、祖母の言葉。『Show Way (Newbery Honor Book)』を息子と読み、その一言を思い出した。本書は、米国南部に伝わるキルトの意義を語る一大ドキュメンタリー絵本である。キルト作りに携わった作者一家8世代にわたる女…

わたしの知らない懐かしの日本

子どもたちに昔の日本を知って欲しいと思い、『Kamishibai Man』(邦訳『紙しばい屋さん』)を読んだ。わたし自身、紙芝居のおじさんは見たことがない。知らないのに「懐かしい」と表現するのはおかしいけれど、「紙芝居のおじさん」ってたぶん全国的に形容…

クイル賞ノミネート作品を読む#5 古代エジプトにようこそ〜の仕掛け絵本

『Egyptology: Search for the Tomb of Osiris (Ologies)』(エジプト学)は、2003年発行の『Dragonology: The Complete Book of Dragons (Ologies)』(ドラゴン学)と今秋発行の『Wizardology: The Book of the Secrets of Merlin (Ologies)』(魔法学)で…

古代エジプトのおとぎ話

『Egyptology』というノンフィクション仕掛け絵本が人気である。英国の絵本で、エジプトの古墳発掘の様子や歴史が手紙や文書などの仕掛けを用いてふんだんに紹介されている。ニューヨーク・タイムズ紙の児童書トップ10入りも長い。息子の購読する雑誌は古代…