stories in rhyme
"Look! A Book!"は、抜群のエンタテイメント性で満点! とにかく愉快な穴あきしかけ&探しもの絵本である。 'LOOK! A BOOK!'のタイトルからもわかるように、アルファベットの「O」の穴からいろいろなものをのぞいてみよう、見てみようの趣向。のぞく対象物…
「これ、ひみつにしておいて、ってことだよ」と娘にタイトル"Don't Spill the Beans!"の意味を教えてもらった。何を秘密にしておくのかな? もじもじ、ひそひそ、けんめいに「何か」を知らせまいと動物たちが作り顔。みんな真剣ね。そして最後に、ジャジャー…
表紙のこの入道雲、子どもの頃、夏になったら毎日見上げていた。気持ちよかった、何の束縛もない開放感。"All the World"でうたわれる世界は、自由で安心に満ちている。 描かれるのは建物の雰囲気からテキサスあたりの海岸風景。けれども、絵本に流れる空気…
去年が"The Haunted House"(米国版"Ghosts in the House!")*1なら、今年は"Only a Witch Can Fly"です。両者ともアジア人アーティストによるイラストなので、ハロウィンにもいわゆる日本風の「ゆるく、かわいい雰囲気」が浸透しつつあるのかもしれません。…
シンプルなものこそ、ごまかしがきかないゆえに完璧さが求められる。"Billy and Milly, Short and Silly!"は、その「シンプル」が完璧にぴたりと決まった絵本。脚韻を並べただけの、ちょっと笑えるショートストーリー集である。わずか3語、あるいは4語でこれ…
1836年10月29日、メイン州ポートランドに向かうロイヤル・タール号が遭難。乗員103名に混じって、サーカス団の動物たちも海に投げ出されてしまった。記録によると、ゾウ1頭、ライオン2匹、トラ、レオパード、馬6頭、ラクダ2頭、ヌー、ペリカン2羽、大蛇と鳥…
『Boogie Knights (Richard Jackson Books (Atheneum Hardcover))』は、ハロウィン向けの一冊。王子さまが眠れない理由は、おばけたちのダンスパーティ。お城を守るはずの騎士たちは居眠りしていて、気づいていないよ。さあ、どうする? 表紙にそそられたの…
海の見渡せるリンゴの果樹園、浜から漁に向かう漁船の先に朝日が上ります。今日は市場の日。リンゴ農家のベンソン一家も露店を出すので、朝からみんな大忙しです。お話は主にマーケットでの準備の光景を描きますが、そこで何者かが悪意無く準備の邪魔をして…
『The Pout-Pout Fish (Pout-Pout Fish Adventure)』は、誰がどんなアドバイスをしても……自分は生まれつきふくれっ面だから……と聞き入れず不機嫌そうな態度を変えなかった魚が、あることがきっかけで明るく生まれ変わったお話。さて、「あること」とは、何で…
『B is for Bethlehem』は、このクリスマスの娘へのプレゼントだった。いつのクリスマスだっただろう。クレヴェンのクリスマス・カードを見つけて、その繊細でちまちまと書き込まれたり貼られたりしたコラージュに大感動したのだっけ。そのカードのイラスト…
『Where, Oh Where, Is Santa Claus?』は、いなくなってしまったサンタさんを動物たちが探す絵本。彼らの足音や掛け声がリズム感あふれる擬音語となり、クリスマス気分を盛り立てる。小さな子どもたちにぴったり! この作者、押韻絵本を得意としていて、読む…
韻を踏んだリズミカルな文章と印象派のような心地よい絵画で、世界中の釣り風景を描いた絵本が『How to Catch a Fish』。これはもう、言葉も絵も、ため息ものの美しさです。 「魚釣りは、こうやってするんだよ……」と話す親子の姿で始まり、トバゴ・タートル…
『Wolf's Coming! (Carolrhoda Picture Books)』は、小さな子ども向けの怖くて楽しい絵本です。ぎらりと鋭い目を光らせた悪役オオカミに、森の動物たちは震え上がります。でも韻を踏んだ言葉のリズムが楽しいので、読者である子どもはエンタテイメントを味わ…
先週土曜日、うちに新しい家族が加わりました。ルーシーとペニー、ポルカのめんどり3羽です。――ポルカは残念ながら病気のため水曜日に昇天、RIP――。 窓から外を見やるとルーシーとペニーがコッコ、コッコと新天地を歩き回っていて、裏庭に新しい表情が生まれ…
『Gizmo』には、永久に動き続ける仕掛け作りに奮闘するルドウィグ・ヴォン・グリンク博士一家の姿が描かれます。歯車、てこ、滑車、分子模型になぜか試験管、ビーカー……、物理嫌いのわたしでも小さな頃にこういう絵本に出会っていたら、少なくとも機械仕掛け…
『My Life as a Chicken』のような山あり谷ありの人生ものに、「詩」という芸術媒体はしっくりときます。ベストセラー・リストにランク入りしそうな大人向けのタイトルもお似合いで、絵本ではあるのですが、人生を知り尽くした年代層受けしそうなスタイルの…
『Puppies! Puppies! Puppies!』の続編『Kittens! Kittens! Kittens!』には、子猫の魅力が詰まっています。しかも歌を歌うように猫ちゃんたちの日常を語ってくれるので、子どもは絵本に釘付けなのでした。 イラストのちょこんとした目がなんとなく日本人イラ…
『A Day at the Market』(作者サイトSara Anderson — Home)は本屋さんで見かけた一冊。今年100周年を迎えるパイク・プレイス・マーケットを紹介するため、目立つところに誇らしげに置かれていた。 ボードブックで韻を踏み、切り抜きの仕掛けがあるという仕…
立春もとうに過ぎた頃、ハロウィン絵本のレビュー。書いておかないと今秋には忘れていると思うので記しておく。 絵本『Los Gatos Black on Halloween』には、登場するハロウィン関連のキャラクターや物がスペイン語の単語で紹介される。bruja(魔女)、calab…
『Move Over, Rover!』は、日常性と民話の親しみやすさに言葉遊びのリズムが加わったちょっと欲張りな絵本。ジェーン・ダイヤーのイラストだから、幼児向けのおとなしい絵本かな……という印象を最初に抱いた。ところがどっこい、中身は大違い。珍しい(?)設…
長母音の説明ができるかなと期待して『Cheep! Cheep!』を読んでみた。出てくる言葉は、「sleep, cheep, peep, creep, eep, leap, heap」の7つ。「ee」と「ea」はつづりが違っても発音が同じことを伝えたかった。例外の多い英語だけど、ルールのひとつとして…
「赤いレモンって、本当にあるのー?」――。『The Red Lemon (Deluxe Golden Book)』の表紙を見て娘がつぶやいた。それで一気に真っ赤なレモンの存在が気になりだす。 ぷくぷくまるまる元気な農夫マクフィーさんのレモン畑は、柑橘の香りがそよぐご自慢の畑。…
五感を味わう生活って、気持ちがいいな。子どもといっしょに生活をしている人なら、きっと誰もが感じることだろう。『ISBN:0689845995:title』を読み、子どもと送る自然の中の日常が、たまらなく愛しくなった。ラシュカのさらりとした水彩にかかると、見る、…
話題の絵本『Is There Really a Human Race?』を娘と読んだ。生きる意味を教えてくれる絵本は、大人の心にこそ、ぐっと入り込んでくる。「human race(人類)」が「人間の競争」と重ね合わせた意味で用いられる言葉遊びに娘は気づかなかったと思うけれど、他…
『ISBN:061855744X:title』の図書館待ち番号は、確か四十七番。ええー! 四十六人もの読者を待っていたら、回ってくるのはたぶん来年の春あたり? そんなわけで、書店で人気絵本を読んだ。 たそがれ時から夜にかけ、ときに不気味に闇を飛び交うコウモリの集…
『A Boy and His Bunny (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))』と『A Girl and Her Gator』は二冊とも書店で読み、韻を含めたナンセンスな遊び心にくすくす笑ってしまった。いずれも朝起きてみたら、動物が頭に乗っていた……というところから話が…
『The Serpent Came to Gloucester』は1817年の夏、マサチューセッツ州グロスター沖に現れた大海蛇を巡っての実話を物語詩に仕立てた絵本である。この大海蛇を描いた当時の絵は有名で、息子も知っていたぐらいだった。文献によると、グロスター町民は最初は…
気持ち悪くておどろおどろしいけれど、かわいくて愉快。主人といっしょに『Thelonius Monster's Sky-High Fly-Pie』を読み、子どもに受ける!と互いに相づちを打った。怪物セロニウスが、ハエパイを作るお話である。 食したハエの味が忘れられず、ハエパイを…
『Down the Back of the Chair』は、米国発売を心待ちにしていた絵本。さっそく手にして、言葉遊びが繰り広げる愉快なお話を楽しんだ。 「うちのくるまは オンボロぐるま。でも、あたらしいのは かえないの。なのに きいてよ、とうさんたら くるまのかぎを …
プレゼントでいただいた絵本『Charlie Cook's Favourite Book』を息子と読む。ドナルドソン&シェフラー制作の絵本といえば、韻を踏んだユーモラスなお話絵本という切り口が定番だ。ご多分に洩れず、本作品も然り。『The Gruffalo (Picture Books)』(邦訳『…