history
『風車小屋ねこカッチェ』は、絶対11月に読みたいと思っている絵本。ところがいつも見慣れていた表紙が、ここにきて見つからない。1年間待ったのに、時期を逃すとは不覚。あせりながら本棚を整理していると、下の方に平積みで埋まっていることがわかった、や…
こういう意義深い歴史絵本は、ぜひ手元に置いておきたい。『Good Masters! Sweet Ladies!: Voices from a Medieval Village (Where's Waldo?)』は、中世に生きた子どもたちの語りを通して当時の生活ぶりを紹介する絵本なのだが、絵本となるに至った制作過程…
娘が10月用ブックレポートに選んでいた絵本が『Make Your Mark, Franklin Roosevelt (Turning Point Books)』です。幼少から青年期を中心に、ルーズベルト大統領の人となりを記します。 裕福な家庭に育っただけあって、子ども時代のすごし方が違う……と感嘆し…
娘は、毎月のブックレポートが楽しみで仕方ありません。フィクションがテーマだった先月はお気に入りクレメンタイン・シリーズ*1の2冊目『The Talented Clementine (A Clementine Book)』を選び、一辺20センチのダンボール立方体にタイトルや設定、主人公を…
『Let it Shine』には、3つの黒人霊歌が鮮やかな切り絵とともに収められている。表題の"Let it Shine"に加え、"Oh, When the Saints Go Marching In""He's Got the Whole World in His Hands"はどれも、耳に馴染んだ歌ばかり。明るいメロディラインを口ずさ…
『Taj Mahal』は、タージ・マハール建設の背景を語る、豪華な絵本です。 栄華を極めたムガール帝国の王シャー・ジャハン(1592-1666)が最愛の妻ムンタズ・マハールの死を嘆き建てたという宮殿には、二人の愛を語るにふさわしいエピソードが詠われています。…
『Lucky Jake』には、カリフォルニア州の金鉱に暮らした父子の生活が描かれます。金塊を売ったお金で手に入れたこぶたをきっかけに、日々の暮らしが少しずつ好転していくのですが、この様子が「こりゃあ、ついてたな」のかけ声に象徴されながら語られていき…
りんご果樹園に甘い香りが漂う中、おじいちゃんは孫娘に自分の体験を伝える。北部の自由州へと脱出を試み、途中名も知らないクエーカー教徒に助けられ、希望の地で自分だけの農園を持つ夢を実現させた話を。奴隷だったオーリンズ・フィンガーからの聞き取り…
バイオリンの帰り、息子といっしょにスターバックスに立ち寄った。とてもいいレッスンだったので、ちょっと奮発。彼はマリオンベリー・マフィン、エッグ・ソーセージ・マフィンにデカフ・モカ、わたしはオレンジ・モカを頼んだ。もともとお茶党なのだけど、…
『Papa and the Pioneer Quilt』は浅春の頃、ペンシルバニアを出発しオハイオ、インディアナ、ミズーリ、カンザス、ネブラスカ、ワイオミングを経てオレゴンに向かった家族の半年間を物語る絵本です。途中、弟たちや妹が生まれ、友だちにも出会う中、主人公…
ある日、突然送られてきたガラスの小瓶。中には、地図が入っている。差出人は、イランに住むおじいちゃんだ。突然風が吹いてきて、男の子は風に乗って街を過ぎ、海を渡り、山を越え、お父さんの生まれた街、テヘランに到着した。そこではおじいちゃんが待っ…
主人公のビニーは、彫刻の才に恵まれていた。若干十六歳で当時の大統領アブラハム・リンカーンの肖像制作に携わったことからも、希代の芸術家であったことが証明されるだろう。このときの彫刻が、後に彼女に大きなチャンスをもたらすことになる。南北戦後、…
『Wind Flyers』は歴史ノンフィクション絵本なのだが、史実を細かく伝えるよりは、登場人物の心情をロマンといっしょに描く詩的な絵本だ。大空を飛ぶ夢を実現した少年の姿が、第332戦隊に所属したおじさんの青少年期と重ねられる。 巻末に歴史背景の解説があ…
ロバート・ジョンソンのギターは、きっとNPRで耳にしているはずなのだけれど、「これだ!」とぴんとこずにいる自分がもどかしい。「あのすすり泣くようなギターの音」などと思い出せたら、きっと彼の伝説を伝える絵本『Black Cat Bone』をもっと楽しめたはず…
自由って、なんだろう。ときに身勝手さとすりかえられてしまいそうだが、真の自由には責任と忍耐が伴う。『Journeys for Freedom: A New Look at America's Story』には、「北米で」あるいは「北米に」自由を求めた人々を伝える二十話が収録される。 清教徒…
歴史ノンフィクション絵本『The Escape of Oney Judge: Martha Washington's Slave Finds Freedom』を読み、表から見えない部分の歴史を垣間見ることができ興味深かった。 主人公オーニー・マリア・ジャッジは、米国初代大統領ジョージ・ワシントン家で働く…
今年の中国正月は、バレンタイン直後の2月18日。同じ色、赤がシンボルとなるお祝いを意識して『Ruby's Wish』を娘と読む。19世紀の中国を垣間見る絵本として読むのも楽しい。 ルビーのおじいちゃんは、米国ゴールドラッシュで巨万の富を築いた数少ない中国人…
ゾウのバレエを描くノンフィクション絵本『Ballet Of The Elephants』を息子と楽しむ。1942年、ニューヨーク――五十頭のゾウがストラヴィンスキー作曲「サーカス・ポルカ」に乗り、バランシン振り付けのバレエを演じた。偉大な芸術家たちがゾウのバレエプロジ…
アンディ・ウォーホールといえば、キャンベルのスープ缶、コカ・コーラ、マリリン・モンローが真っ先に頭に浮かぶ。ついで、コマーシャルアートの旗手は奇妙ないでたちで、さぞかしニューヨークライフを謳歌したことだろう、みたいな人工的なイメージばかり…
奴隷制度の州ケンタッキーから自由の州オハイオへ。――1930年代、連邦政府は大恐慌で失職した執筆家たちに奴隷体験の聞き書きを作業を斡旋した。Slave Narrative Collection(奴隷伝承集)には、奴隷制度廃止に至る時代を幼少期として過ごした八十歳代から百…
『Dear Mr. Rosenwald』にはアフリカ系米国人の地域発展を目的に1917年から1932年の間、南部十五州*1に建設されたローゼンウォルド学校の成り立ちが、一学校創設の過程をめぐり語られる。創業1886年のシアーズ・ローボック社ジュリアス・ローゼンウォルド社…
山に行くというのに、なぜか海を舞台にした歴史フィクション絵本『Birdie's Lighthouse』(邦訳『灯台守のバーディ―希望の灯を守った少女の物語』)を持ってきていた。カリフォルニア生まれの義母は、大の内陸好き。山と大平原に囲まれた自然の美しさをいつ…
三十二歳で夭逝したカンフースター、ブルース・リーの若き日を伝える絵本『Be Water, My Friend』を読んだ。父親が香港で映画産業に関わっていたことから、彼は幼少の頃からスクリーンに登場している。けれど学校嫌いで、路上での喧嘩に巻き込まれるなどいろ…
ピーター・ラビットシリーズの背景を伝える書籍*1は多いけれど、まさか『Dragonology: The Complete Book of Dragons (Ologies)』や『Egyptology: Search for the Tomb of Osiris (Ologies)』などオロジーシリーズと同様の趣向でポターの個人史が出るとは思…
黒人解放を支えた地下組織アンダーグラウンド・レイルロードが、実際どうやって逃亡を手助けしたのか。息子といっしょに読んだ『Moses (Caldecott Honor Book)』が、1851年から1860年の間、十九回にわたる奴隷逃亡(総数三百人)を成功に導いたハリエット・…
『東方見聞録 (地球人ライブラリー)』と聞いて連想するのは、「黄金の国ジパング」という表現。ベニス商人の息子マルコ・ポーロ(1254-1324)が驚異と憧憬を持ってヨーロッパに伝えたというその国にわたしは住んでいる――。中学生の頃、「ジパング」という響…
本って、運命の出会いを直感する瞬間があるものだけれど、アンホルトによる画家絵本シリーズに出会ったときがまさにそうだった。それは、どかんと強烈なものではなくて、漣が寄せるような静かな出会い――。好きな画家の生涯を彼らの作品(実写)といっしょに…
『Remember Little Bighorn: Indians, Soldiers, and Scouts Tell Their Stories』は、アメリカ地理学会(ナショナル・ジオグラフィックソサイアティ)から出ているRememberシリーズの一冊。清教徒と先住民族の交流会食がシンボルとなる「収穫感謝」にちなみ…
記録しようしようと思っていて、父の日からずっと遠ざかってしまった。『Pop's Bridge』は、ゴールデンゲイトブリッジの建設を少年の目から描いた歴史ノンフィクション絵本である。作者がアイルランドから米国に移民した頃、実際サンフランシスコで目にした…
ハロウィンもまじかという頃、庭には夏の名残よろしくまだひまわりが揺れている。深まる秋の中、黄色い大輪をずっと目にしていたからかな。『A Place Where Sunflowers Grow: Sabaku Ni Saita Himawari』の記録がずいぶんと遅れてしまった。 なぜ、砂漠の荒…