2005-01-01から1年間の記事一覧

満ちたりた冬じたく

子どもたちの大好きな『クレメンタインの冬じたく』を読む。ねこのクレメンタインはおしゃれさん。クロゼットの中には、「スパッツ43本、シャツ20枚、ジャンパースカート16着、セーター16枚、くつ下116足、ネックレス50本、ブーツ67足、コート12着、マフラー…

仲良し2羽のクリスマス

息子の関心ごと……ジャズ、イタリア車、女の子のこと……。あれほど女の子がらみの話題を嫌がっていた彼が、今では友だちと女の子の話題で盛り上がっている、へえ〜。じゃあ、ということでハービーとロッティーのクリスマス絵本『ハービーのないしょのサンタ (…

ウィリーのそりのものがたり

雪から一夜明け、本日は雨。地面が顔を出しても子どもたちは雪の残る場所を目ざとく見つけ、雪合戦、雪だるま作りに興じる。すべて解けてしまう前に雪の絵本をと思い、『ウィリーのそりのものがたり』を娘と読んだ。 原書タイトル『The Story of a Boy Named…

ネームタグ・バスケット

1、2年生のクラス。1人最低3個。バスケットに関した絵本がなくて驚く。テーマとしては絵本にしやすいと思うけれど。星、ドーナツ、ドットのスティッカー、毛糸。三角テンプレート使用は◎。 名前つき個別ジップロックを準備して、細かな材料を入れる。

お気楽ねずみのクリスマス

お昼前から本格的に雪が降り始め、子どもたちは大はしゃぎ。息子のオーケストラ定期演奏会はキャンセルになったけれど、おかげでベイク・セールのマフィンを焼かずに済みちょっぴりほっとする。時間に追われる焼き菓子作りって、ストレスの素。 夕食後、子ど…

現代の贈り物

慎みの季節アドベントとは裏腹に、コマーシャリズムの踊る季節がやってきた。物のなかった時代には、1年に1度の贈り物は特別な意味を持ったことだろう。贈る人も受けとる人も、心あたたまるひとときを過ごしていた。今も同じような気持ちは味わえるのかも…

クリフォードの赤

娘といっしょに『Clifford the Big Red Dog』を読む。クリフォードと聞くと、赤いからどうもおめでたい犬のイメージになってしまう。何年か前、娘へのクリスマス・プレゼントにクリフォードの大きなぬいぐるみがあり、わたしにとってこの「ビッグ・レッド・…

冬の魔法はトムテから

今朝は霜が降り、あたり一面真っ白の光景。娘はサンタ帽をかぶり登校した。途中には、だいぶ踏みならされてけれど氷も張っている。たぶん、朝一番に喜んでこの氷を割ったのは息子だろう。出掛けに部屋に戻り、白み始めた金色の空と有明の月を指差して「ママ…

まるまる太ったにわとりと奥さん方

『The Problem With Chickens (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))』の表紙は、新聞などさまざまなところで見かけていた。いずれにしても、その印象から浮かんだ修飾語は「まるまる」という副詞。実際に読んでみて、出てくるにわと…

押入れお化けの逆バージョン

『Jitterbug Jam (New York Times Best Illustrated Books (Awards))』は地元作家の絵本デビュー作とあってか今年、どの書店でも大々的に目立つ場所に置かれていたような気がする。ここにきてNYT紙のベスト・イラスト賞を受賞したから、当地では知名度が確立…

名高い白雪姫

ランデル・ジャレル訳『Snow White and the Seven Dwarfs』は、「白雪姫」の話になると必ず言及される絵本。なのでさっそく娘と読む。この表紙には、いつも魅せられていた。 何がいいのかといえば、ドイツ語から英語への翻訳が優れているから。確かにわかり…

ウィリアムズさんの回顧録

『Mr. Williams』は図書館で見かけ、表紙が誘って放さない絵本だった。友人J.W.ウィリアムズさんの少年時代の話を、作者が聞き書きして絵本化した作品である。彼の飾らない口調は、それだけで読者との距離を一気に縮める力を持ち合わせる。 ウィリアムズさん…

クロンダイクに沸いた時代

アリス・プロベンセンがクロンダイク・ゴールドラッシュを描いた!――これは必読という意気込みで『Klondike Gold』を手にする。シアトル史はアラスカ金鉱抜きには語れないので、地元素材の作品と聞けば知らないうちに熱くなってしまう。こうして収穫感謝前夜…

ハムレットの台詞

『Hamlet』を息子と読む。読む前に有名な台詞のことを話した。日本語では「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」って言うんだよと話すと、驚くべきことに「それ知ってる、日本のテレビでやってたよ」との応え。へえ〜、じゃあ、それがどんな状況で出た…

仮装クイーンは誰?

本当はハロウィンの頃に読みたかった『Sylvia Jean, the Drama Queen』。ちょっと遅ればせで子どもたちと読む。 ぶたのシルビア・ジーンは仮装が大好き。どんな状況にもそれにぴったりの服装があると思っているから、いつでもどこでも毎日、できごとに合わせ…

キルトが示す生きる道

「真実に裏付けられた作品は、強い」とは、祖母の言葉。『Show Way (Newbery Honor Book)』を息子と読み、その一言を思い出した。本書は、米国南部に伝わるキルトの意義を語る一大ドキュメンタリー絵本である。キルト作りに携わった作者一家8世代にわたる女…

わたしの知らない懐かしの日本

子どもたちに昔の日本を知って欲しいと思い、『Kamishibai Man』(邦訳『紙しばい屋さん』)を読んだ。わたし自身、紙芝居のおじさんは見たことがない。知らないのに「懐かしい」と表現するのはおかしいけれど、「紙芝居のおじさん」ってたぶん全国的に形容…

笑顔の意味

表紙のタイトル『Terrific (New York Times Best Illustrated Children's Books (Awards))』の意味と主人公の表情が相反しているので、息子が好きそう〜と思い読んでみた。聴衆は久しぶりに、息子、娘、主人の3人。 主人公は、初老のユージーン。幸運にもバ…

家なき犬

紹介していただいた絵本を娘と読む。『Mutt Dog!』とは、野良犬のこと。絵本には1匹の野良犬の奔放で哀愁おびた生きざまが、都会の片すみに暮らすホームレスの姿といっしょに描かれる。娘から「シェルターって、何?」と聞かれたので、家のない人たちが食事…

こういうパロディもあり

『Snow White』を見て「これもあり!」と、その発想に敬意を表したくなった。絵本のタイトルは「白雪姫」。でも白雪姫は人間のお姫さまではなくて、白いうさぎさんなのである。耳は、白雪姫の黒髪のようにちゃんと黒い。明かしてしまうと、継母はペルシャ猫…

甘く芳ばしい、アップルパイのABC

自分の夢や憧れを絵本に詰め込んだら、こんな作品になるんだろうなあと思った。『A Apple Pie』は、「食」「自然」「子ども」、そこに「優雅さ」を加え、甘く芳ばしい香りを放つ。英国の童謡「アップルパイのA」に描かれるAからZまでの光景は、アップルパ…

美しくて怖い森でのお話

収穫感謝を飛び越して話題をアドベント、クリスマスに向けるのは気が引けるけれど、お菓子の家がのぞく表紙を見たら、これは絶対ジンジャーブレッド・ハウス(実は、グラハム・クラッカー使用)を作る前に読まなくちゃ……ということになり娘といっしょに『Han…

洪水と人々

米国南部メキシコ湾岸の州がハリケーンと洪水被害に見舞われたとき、思い出した絵本が『The Boat』だった。柔らか味のある鉛筆画に、ところどころ水彩で淡く色の点された美しい絵本である。伝えられる中身も美しい。人の心が、そのまま描かれているから。 町…

視点を変えると見えてくる

art

娘といっしょに『Turn-Around, Upside-Down Alphabet Book (Ala Notable Children's Books. Younger Readers (Awards))』を開く。シンプルな発想のABC絵本なのだが、これが結構楽しめた。出てくるのは、1ページに1文字のアルファベット。黒を背景にした正…

雪が奏でる静かな音楽

初雪が降るかもしれないと聞いたので、『Snow Music (Bccb Blue Ribbon Picture Book Awards (Awards))』を開く。これは、冬の詩ともいえる美しさを絵と静かな音で表現する絵本。秋の終りに訪れる、初雪の日にぴったりの作品なのだ。ほわんとした冬の息、し…

グラフィックで追う、バスラ侵攻と蔵書保護

war

紹介していただいた翌日、即手にできたグラフィック・ノベルズ『Alia's Mission: Saving the Books of Iraq』*1だったが、息子といっしょにゆっくりと読む時間がなかなか持てずにいた。 本書は漫画のようなコマ割りスタイルで、イラク戦時下でのバスラ中央図…

おとぎ話のパッチワーク

グリム、ペローなどのおとぎ話に魅せられて、最近、図書館でも書店でも必ずこのコーナーをチェックするようになった。よく言われるように、民話、童話の再読の価値は高い。大人こそ読み返してみるべきとは、その通りだと思う。(わたしの場合、お話じゃなく…

ブレーメンの音楽隊パラチェク版

咳がひどくて、娘がお昼前に早退。帰宅していっしょにヨセフ・パラチェクの『The Bremen Town Musicians (PBS little books)』を読んだ。 作中、引かれたのは、動物たちのニックネーム。子どもの頃は気が付かなかった。犬が「Biter(かみつきくん)」、猫が…

イーグルボーイの心

突然仕事が入り、忙しくなる。こういうときは、ゆっくり絵本が読めないので残念。ところがこの仕事で偶然、シアトルの歴史を振り返る機会が与えられた。北西部先住民とヨーロッパ系移民者たちの土地抗争について資料を読み、当地の変遷ぶりに想いを寄せる。 …

息子といっしょに読むシェイクスピア

シェイクスピア熱が高じて、息子といっしょに絵本作品を読み始めた。選書が悪かっただろうか、1冊目は何と『Shakespeare's Romeo and Juliet』。恋愛、悲劇……、どれも彼からしたらほど遠い世界だったかもしれない。でも、このジェーン・レイの可憐で上品な…