poetry

Frankenstein Makes a Sandwich フランケンシュタイン、サンドウィッチを作る

『Frankenstein Makes a Sandwich』は、表題「フランケンシュタイン、サンドウィッチを作る」に始まって、全十九編の詩からなるユーモア+ペーソスに富む詩集絵本である。フランケンシュタインがサンドウィッチを作ろうとしたら材料がまったくない。お隣さん…

The Moon パパとおつきみ

まろやかな光を放つ「月」の存在には、子どもの頃から魅せられてきた。太陽はなかなかその正体が「絵」のように見えず、まともに見つめることもできなくて、ありがたい割によくわからない対象だった気がする。でも、月は違った。見上げれば夜空にくっきり、…

Keep Climbing, Girls 女の子を応援する詩の絵本

『Keep Climbing, Girls』は、アフリカ系米国人の俳優で、詩人、脚本家でもあったBeah E. Richards(1920-2000)が1951年に書いた頌歌にダイナミックなイラストをつけた詩の絵本である。女の子の平等を手に入れる唯一の方法は、一番高い木のてっぺんに登り詰め…

TOUR AMERICA: A JOURNEY THROUGH POEMS AND ART 詩とアートでつづるアメリカの旅

息子が小さな頃、親子で夢中になった絵本がある。街の風景からアルファベットの形を探し出す『Alphabet City (Caldecott Honor Book)』は、文字を覚え始めた彼にぴったりだった。丹精に写実的なイラストを描いたあの画家は、今どうしているだろう。以来街中…

Once I Ate a Pie

詩の絵本『Once I Ate a Pie』を目にしたとき、『Good Dog』*1と同じような趣向の絵本だなあ、と感じてしまった。イラストも水彩+鉛筆の「Good Dog!」の方が、わたし好み。でも、息子といっしょに読んでみて、やっぱり犬たちのつぶやきってかわいいなあと感…

POETRY Speaks to Children

『Poetry Speaks To Children (Poetry Speaks Experience)』は、95編の詩が収録された詩集。73人の詩人が自分の詩を朗読するCD付きである。故人に関しては、別の詩人が担当したものもある。わたしが夢中になったのは、ダールとトールキン。それぞれ、過去の…

A Family of Poems: My Favorite Poetry for Children

歌の力ってすごいな、と詩集『A Family of Poems』を読み感じた。編者は、キャロライン・ケネディ。ここには、ケネディ家で親しまれてきた106編の詩が収録されている。 ずっしり重さが感じられる詩集だが、内容もとても濃い。「ABOUT ME」「THAT'S SO SILLY!…

屋根の上のフラミンゴ

市内地区リトル・リーグ(ラグ・リーグ)の優勝戦。ドジャーズはメッツに6−10で敗戦し、市トーナメントに出場できなかった。怪我のことを考えると、これでよかったかなとも。あとは、オールスター・ゲームが残るのみ。 というわけで、負けた気晴らしにと思…

CARNIVAL OF THE ANIMALS 動物の謝肉祭

表紙に一目ぼれして思わず手に取った。『Carnival of the Animals with CD: Poems Inspired by Saint-Saëns' Music』は、サン-サーンス(1835-1921)「動物の謝肉祭」のイメージに合わせた詩14編が組曲とともに紹介される絵本である。モザイクのようにデフォ…

大きなワニがやってくる!

最近、息子といっしょに詩を読み始めた。詩といっても子ども向けの言葉遊びがほとんどだけど。マザーグース以来、何も親しんでなかったから、ミニ・グレイのイラストがお目当てで購入した『The Crocodile Is Coming!』は、取り掛かりとして最適だった。言葉…

FOUR AND TWENTY BLACK-BIRDS・OLD NURSERY RHYMES 1938年オナー作品

『Four and Twenty Blackbirds: A Collection of Old Nursery Rhymes』は24編の童謡が収録された歌絵本。巻末に内13曲の楽譜が付いている。ほとんどが19世紀全般にわたり親しまれていたもの。年配者からの提供を受けて編集したという童謡は、有名どころだけ…

木蘭歌

花木蘭とは、ディズニー映画にもなったムーランのこと。たまたま隣家でビデオを見せてもらい、娘が大ファンになった。そんなことを思い出し、息子と『Song of Mu Lan』を読む。個人的にこの絵本、大好きなのだ。中国では教科書に掲載されるほどの有名な故事…

リトル・リーグの季節がやってきた!

仕事が一段落したので久しぶりに息子の試合を見に行く。草の匂いがさわやかなボールパークで、西日に背中をあたためてもらいながらの応援。「ゴー、ドジャーズ!」――。「カキーン!」と響きわたるバットの音が、リトル・リーグらしくてうれしくなってくる。…

GOOD DOG!

とってもキュートな犬の絵本に出会ってしまった。『Good Dog』は16匹の犬たちのかわいいつぶやきを詩にした絵本。息子と読み返し、そのたびに「かわいい〜」を連発している。終いには主人も加わって、「かわいい〜」。息子のお気に入りはチワワだけど、この…

芳しい夏の夕べをうたう

なんだか季節はずれなのだが、素敵な詩の絵本なので記しておく。『Summertime Waltz』は、芳しい夏の夕べをうたう詩の絵本である。夕といっても、こちら米国の夏は夜10時ぐらいまで明るいという事情。長いイブニングの楽しい集いは、草の匂いと笑い声に包ま…

心の友 詩を紹介する絵本

図書館で借りるだけの絵本と購入にいたる絵本。この違いを生む要因は、絵と言葉の質と自分の好みによる。『A Kick in the Head: An Everyday Guide to Poetic Forms』は、購入絵本。ためいきの出る詩の絵本だからである。 といっても、ただの詩ではない。こ…

合科型・池の野外学習にぴったり

『Song of the Water Boatman and Other Pond Poems (Bccb Blue Ribbon Nonfiction Book Award (Awards))』は、池に住む生物の生態学習に最適の詩集絵本である。11編の詩が池の自然を歌うと同時に自然学習へのきっかけ生み出す発火役を務める。国語と自然科…

子どもの祈り

日本語でないと伝わらないものに「祈り」がある。英語の祈祷書で唱えていても、実はいまひとつ心に響いていなかったりする。(ところが聖歌となると、英語のほうが泣けてしまうのはなぜか。じんと胸の深いところに言葉とメロディが入り込んできて、目頭が熱…

めぐる自然

雨続きの暖冬だったからか、例年に比べて1か月も早くクロッカスが薄紫色の姿を見せた。2月初旬から咲き始めるのは珍しく、うれしい贈り物をいただいた気分。鳥の声も心なしか澄んで聞こえるようになり、春の訪れがにわかに感じられる。なんだか心が弾み、…

チキンスープが1番!

今週から娘の宿題に詩の暗唱が加わった。毎月1編ずつ鑑賞していくという。「1月の詩」と聞いて「もしや!」と思ったら、やっぱり。『Chicken Soup with Rice: A Book of Months (The Nutshell Library)』(邦訳『チキンスープ・ライスいりー12のつきのほん…

愛がいっぱい

テディベアの親子が日常生活の息づかいを伝える『You Are My I Love You』は、詩の絵本。親から見た子どものあどけなく素直な姿を、シンプルな言葉で描写する。成長すると小さな頃の姿って遠のいてしまうのかもしれないけれど、この絵本があれば大丈夫。ふか…

言葉と印象で遊ぶ

ジーファート&ドーティーコンビの絵本は、脚韻のリズムと味わい深いペン画が音とイメージの世界を愉快に繰り広げる。初めて出会ったのは、娘のプレスクールで。クリスマス会の絵本交換で、サンチャゴの包んだ絵本が娘に回ってきた。クリスマスだから、中に…

摩訶不思議、帽子ネコの世界

有名なのに娘に読んでいない絵本に『The Cat in the Hat (Beginner Books(R))』*1(邦訳『キャット イン ザ ハット (ビギナーブックスシリーズ)』)があった。息子の誕生日祝いにいただいた一冊だったが、こういう古典絵本は主人が学校に持っていったりして…

ドクター・スースのミュージカル

木曜日は、大忙しだった。昼過ぎまで、主人のクラスの付き添いボランティアとしてチルドレンズ・シアターでドクター・スースのミュージカルを鑑賞。放課後は娘のアート教室(ねずみちゃんのアートスクール)、続いて息子の中学のカリキュラム・ナイト……で家…

クイル賞ノミネート絵本を読む#3 愉快なRunny Babbit語遊び

『Runny Babbit: A Billy Sook』は、日本では『おおきな木』や『新装 ぼくを探しに』で知られる詩人、漫画家、脚本家、俳優、音楽家、グラミー賞受賞作詞家……と多彩な才能で活躍したシルヴァスタインの最後の詩画集。楽しい言葉遊びは、まずタイトルに表れる…

女の子のうた

米国で子育て雑誌を講読していると、「娘と母親の関係」といった特集によく出会う。あまり意識したことがなかったのだけれど、これって思春期を迎える娘を持つ親にとり大きなテーマであるようだ。同性の子どもとの付き合い方って、永遠の家族のテーマなのか…

生き物賛歌

くどうなおこさんの『のはらうた』(『のはらうた (1)』『のはらうた 2』『のはらうた〈3〉』『のはらうた〈4〉』)は、自然界の生き物の気持ちになれる、愛しい詩集である。どれもこれも、小さな生物、自然現象をぴったりの表現でうたい、自然を感じたけれ…